能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2012年2月27日月曜日

第84回 アカデミー賞授賞式



アカデミー賞授賞式を見た。

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作品賞ならびに5部門で受賞した『アーティスト』。日本ではまだ公開されていないらしい。このエントリーは(ネタバレはしていないと思うのですが)私の個人的な印象、及び感想を書いているので、気分を害される方がいるかもしれません。人の意見に左右されず純粋にこの映画を楽しみたいと思う方は読まないでください。
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まず、文句から。
作品賞、監督賞受賞の『アーティスト』。これはなかろう。うーん。でも分からないでもない。このアカデミー賞、ハリウッドの映画業界人クラブの内輪受けの賞だもの。この映画、フランス人が作った大昔のハリウッドに対する憧れオマージュ(尊敬と賛辞)映画。ハリウッドの映画人たちもこれぐらい(ハリウッドの過去の栄光を)正面切ってほめられたら、そりゃあうれしくないわけがない。でもハリウッド自らは、こんなにあからさまな昔のコピー映画は作れないと思う。そんなの思いつく人さえいないと思う。だってちょっと恥ずかしいもの。でもね、あのスノッブなフランス人が作ってくれたら、こりゃうれしいうれしい大絶賛ですよ…という結果だと思う。もうハリウッドはだめかもしれん。
映画自体は、よくまとまってるし、(賞をとった)俳優も、いかにも往年のハリウッドスターみたいで上手いし、ほんとにそれらしく出来ているんだけど、だけど…。本物の白黒のハリウッド映画みたいな魔法がない! だって、真似事のコピーにしか見えないもの。小手先でちょこちょこっと作りました、という感じだ。私には、フランスのちょっとおしゃれな映画人が「昔のハリウッド風につくったら面白いからやってみようぜ」的に作ったものとしか見えないのだ。こういう映画をギミック(仕掛け、策略)という。
しかし、それでいいのか、ハリウッド…。
もちろん映画単体としての質はいいし、多くの人が楽しめると思うのだが、こういうギミックものが、今年1番の映画として世界で最高の賞をもらうのはどうかと思うのだ。そこが問題なのだ。ハリウッド、もう才能もアイデアも枯渇してしまったのか…。
たとえば、70年代のロックバンド、クイーン。フレディ・マーキュリーの声にそっくりのボーカリストを擁したロックバンドが、もし現代にいたとする。で、いかにもクイーンらしいブライアン・メイばりのギターに、ボヘミアン・ラプソディみたいな多重録音のコーラスなど満載の、キャッチーなメロディーの新曲ばかりのアルバムを今年2012年に作ったとする。で、それが今年のベスト・アルバム賞をもらったとしたら、音楽ファンとして素直に喜べるだろうか? …ま、そんなような感じを受けた。ぶつぶつ…。
それにこの映画、作品賞以外にも、主演俳優とかいろいろと過剰受賞をしていたのも気に入らない…のでちょっと機嫌が悪い。

でも、いい場面もあった。あのメリル・ストリープさんが今までに17回もノミネートされ、3回も受賞してるのに、やっぱりうれしそうに目に涙を浮かべて喜んでいるのを見るとこちらも泣いてしまうし、『The Help、ヘルプ ~心がつなぐストーリー~ (2011)』の女優オクタビア・スペンサーさんが助演女優賞をもらって慌てふためいて泣いてるのもほんとに感動的だった。ああいうほんものの感情は、心を動かされる。心からおめでとうございますと言いたい。
ところで、同じ『The Help』の主演女優、芯の強い女性を演じたヴィオラ・デイヴィスさん。受賞は逃したものの、彼女は昨日の授賞式で、映画の役と全然似ても似つかないくらい(あまりにも)美しくて、何度も画面に映ったのに、主演女優のノミネートで名前が呼ばれるまで、誰だか全然わからなかった。びっくりだ。女優として体張ってるなという感じだ。彼女はいつか賞をもらうだろうと思う。応援したい。
そういえば、また『The Help』で同じく助演女優賞にノミネートされたジェシカ・チャステインさんもいい。『Tree of Life、ツリー・オブ・ライフ』にも出てて見たのは2回だけなのだけど、二役で全然別人。上手い。これから注目ですね。
私はやっぱり女優、俳優ががっつり真面目に役に取り組んで、女優魂、俳優魂をを見せてくれるような映画のほうがいい。ギミックはいかんと思う。


その他
ビリー・クリスタルがご老体に鞭打って司会をやっていたが、今のアメリカの映画界、芸能界の問題は、ビリー・クリスタルを引き継いで、安心して司会を任せられる20歳くらい年下の実力派コメディアンがまだ出てきていないということだ。ハリウッドも人材不足なのだなと思う。ほんとに、ビリ・ークリスタルなんてもう20年もやってるんだもの。