能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2012年2月28日火曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第8回「宋銭と内大臣」


視聴率、苦戦しているようだ。そのことについて今日は真面目に考えたい。
最初にこの回を見たとき、つい途中で眠くなってしまい、うつらうつらしてしまったので、もう1度見ることにした。2度目に見ると1度目よりも面白い。話の内容も既に見ているので解りやすい。実は以前にも2回見たら1回目より面白かったことがあった。なぜだろうと考えてみた。
なんとなく思うところがあったので、もう一度見てみたそれで気付いた。この平清盛、一場面一場面が異様に短いのだ。殆どの場面は1分未満から1分ほど。一場面で話が盛り上がる前に、ぶつっと切れて次の場面になってしまう。数えてみたら、なんとこの1話で28場面もあった。一場面で3分以上のものが2つしかない。一つは、上皇の菊の宴で344秒。もう一つは藤原頼長(山本)が清盛を呼び出した場面で748秒。それ以外は全てほぼ1分前後だ。短い場面など20秒しかない。これでなぜ2度目が1度目よりも面白いのかがわかった。場面の切り替わりが早過ぎて、1度見るだけだと何が起こっているのか非常にわかりずらいのだ。
低視聴率の理由も、これではないだろうかと思い始めた。というのもこのドラマ、どうもつかみどころがない気がしていたのだ。もう8回目だし、そろそろ人物のリアルな人となりもわかってきそうなものだが、どうもはっきりしない。性格描写が足りない気がする。それぞれの人物がまだよく解らない。上皇(三上)もたまこさま(檀)も、得子さん(松雪)も、義清(藤木)も何を考えているのかわからない。得子さんはどうしてあんなにいつも怒っているのだろう。たまこさんはどうしてあんなに空気なのか。平家もそう。忠正叔父さん(豊原)は、なぜそこまで清盛を嫌うのか、理屈はわかっても感情の根拠が無い。要は魅力的な人物、または「理解できる」人物が少ないのだ。
一人ひとりの演技をじっくり見てみると、みんないい表情をしている。優しい家貞(梅雀)なんて特に魅力的だ。なのに好きになれるほど印象的な場面の記憶がない。もしかしたら脚本上、一つの場面が短すぎて人物描写まで出来ないのではないだろうか12分で変わり続ける場面を追いかけていくのがやっとで、ストーリーや人物描写、演技を楽しんでいる暇が無い。非常に忙しい。結果、毎回なにが起こっているのかさえわかりずらい。確かに今回、頼長と清盛の場面は長かった。しかし、あの場面もそれほど緊張感のある見せ場には見えなかった。なぜだろう。それは唐突だからだ

過去の大河『龍馬伝』を思い出してみる(これも視聴率は低かったらしいが、話としてよく出来ていると思うので、比較するため例とした)。家族と龍馬、老いた父親が浜辺で話す場面。武市半平太と奥さんの最後の晩餐。山内容堂が武市を牢屋に訪ねる場面。後藤象二郎と龍馬の清風亭の対決。これら、私にとって思い出深い場面は全部一場面が長かった。話の構成も、前の場面を積み重ねながら次第にこれらの場面につなげていく描き方だったと思う。
早速録画していた『龍馬伝』を見直してみた。やはり1話の中に35分の場面が5回ほどある。1から3分程のいくつかの場面が繋がって一場面と考えられるものもあり、ひとつの流れとして話が20分も続くものがある「第29回・新天地長崎」。「第40回・清風亭の対決」の場面など14分も続いた。対決場面に至る前に5分の場面が2回あって話を盛り上げている。話が解りやすい。

単純に場面の数を比べてみよう。『龍馬伝』
29回 1話 19場面(丸山町を全20分の一場面とすれば8場面
40回 1話 13場面
それに比べて『平清盛』
8回 1話 28場面 かなり違う。

録画を残しているので、過去の『平清盛』も見直してみた。印象に残った第4回「殿上の闇討ち」では23分の場面もいくつかあって、もう少し落ち着いて見れた。今回の回が特に落ち着きが無かったのかもしれないが、『龍馬伝』と比べると違いははっきりしている。

ともかく、視聴率は苦戦している。いままで、理由も無く好き嫌いだけで批判をするのはやめようと思っていたが、ここにきて、私の個人的な意見をまとめてみようと思った。問題点のリストだ。今回の第8回を主に対象にしている。
1.編集
面場面の切り替わりが早過ぎる。このままではキャラクター全員のつかみどころが無いまま回数を重ねてしまう。人は人に惹かれてドラマを見る。もう少し、腰を落ち着け、人物描写をしっかりするような編集であってもいいのではないか。
2.脚本
編集とどちらが先なのかわからないが、問題は同様だ。一場面が短すぎて、登場人物の描写が満足に行われる前に次の場面に移ってしまう。これでは、どの人物に心を寄せればいいのかわからない。
3.コーンスターチ
リアルだからいいのだと思っていた。しかし今回8回目。だんだんうるさくなってきた。今回の1場面、弟家盛(大東)が女性と会う竹林の小道。竹を通した日の光がさわやかで、初々しい若者の逢瀬の場面として綺麗に仕上げることもできただろうに、家盛の顔のまわりを漂う白い煙。やっぱりおかしいと思う。やりすぎだ。市場にも庭にも室内にも白い煙が見える。せめて場面を選んで適宜必要な効果としてやってほしい。このせいで、人物の顔が見えないことが多い。
4.カメラ=光の処理
光の加減も変だと思う。白が異様に強すぎる。室内から撮った映像は軒下と柱の向こうに見える庭と空が、真っ白でまぶしくてしょうがない。床に反射した光もまぶしい。屋外の映像は空の白が強すぎて、人物の顔が見えない。白が際限なく広がって人物を消している。これはコーンスターチのせいだけではない。『龍馬伝』でも空が白くてまぶしい場面はあったが、これほどではなかった。カメラの感度の設定がおかしいのではないか。
5.音楽
今回どうも無駄に曲が流れた。崇徳天皇(井浦)と義清の場面のピアノ。清盛邸での宴会の後、夜の場面でのピアノ。最後の清盛邸で、明子懐妊の知らせの場面のあたりも、かなりうるさいオーケストラの曲が流れていた。唐突なのだ。必要が無い。場面にマッチしていない。特に今回はどうしたものかと思った。(音楽に関しては今回のみ気になりました。以前に気になったことはないです。タルカスも「遊びをせむとや…」の歌も素晴らしいと思う
こんなところかな。視聴率が苦戦している折、一視聴者としてなぜなのか感じるまま書き連ねてみた。衣装やセットは綺麗でいいと思うし、俳優さん達もかんばっていると思う。ただ忙しい編集と多すぎる場面の切り替わり、映像の妙な光の加減で良さが消されてしまっている。もったいないと思う