2012年4月27日金曜日

私はロースト・ビーフが嫌い…かもしれない


イギリスには10年住んだ。何故だか知らないが美味いローストビーフを食べずに国を出てしまった。肉の質を考えれば高い専門のレストランでなければいけないらしいが、ついに食べずじまいだった。(あ、そうそうイギリスに移住してすぐに狂牛病が流行って警戒したためだったと思う)。

米人旦那Aは、ローストビーフが好きである。彼はイギリスでも会社の同僚と高い専門店で食べておいしいおいしいと言っていた。

さて、このローストビーフ、たまにホテルやケータリングなどでパーティーに出てくることがある(と思う?)。薄く切った切り身が大きな皿に並べられているものを取り分け、テーブルでホース・ラディッシュという日本のわさびのようなものをつけて食べる。(これはアメリカ式なのだろうか、そういえば英国ではいっさい見なかった。いや見たのかな?)

おいしかった記憶がない。ほとんど記憶に残らない。いつ食べたかも覚えていない。そもそも牛肉にわさびも疑問だ。


現在アメリカに住むが、デリではコールドカットといってプロの焼いたローストビーフをハムのように切ったものを量り売りで買える。旦那Aが好きで私が料理をサボるとすぐに買ってくる。サラダといっしょに普通に皿に盛ってホース・ラディッシュで食べることもあれば、サンドイッチにすることもある。

これが、あまりおいしくない。

味が無い。香りが無い。量り売りのものなんて冷めているので、まるで布の端切れでも食べているようだ。味の無いものに、胡椒を振ったり、わさびみたいなものをつけて何とか刺激を足して食べる感じだ。実はさっきランチで食べた。



自宅にはオーブンがある。旦那Aが好きなのでうちでもたまにローストビーフを焼く(めったにやらないけど)。シンプルな料理なので、おいしさは肉の質に左右される為いい肉を塊で買ってくる。塩を摺りこみ胡椒を摺りこみ、オーブンで時間を測り、温度計を肉に差し込んで焼く。表面はこんがり。切ると中はピンク。じんわりと肉汁が染み出してくる。

これは、まあまあ美味い。しかしそんな程度だ。翌日冷めればやっぱりまあまあである…。



ローストビーフという言葉の印象は非常にいい。イギリスでは、Sunday Roastと言って毎週週末に家族で食卓を囲むご馳走である。なんだか美味しそうなイメージがある。今までローストビーフとは美味しいものだろうと思い込んでいた。しかし今日気付いた。ちょっと待て…ほんとにそんなに美味しいかな…。

牛肉は嫌いではない。ステーキは各種美味い。スキヤキも(素材の組み合わせの妙だと思うが)驚くほど美味い(これを考えた人は天才だと思う)。焼肉も美味い。メキシカンのスパイシーなのも美味い、チリも美味い。肉じゃがも美味い。ハンバーグも美味い。ミートローフも美味い。ビーフストロガノフも美味い。中華も美味い。イタリアンのミートソースも美味い。赤ワインで長時間煮たビーフシチューの牛肉なんてとろける様に美味い。一番美味い。 ぁぁ



しかし、ローストビーフだけは…どうも解らない。今日あらためて考えたけど、どうしてあんなに高評価になったんだろうと不思議だ。オーブンでの肉のロースト料理は、どうも疑問が多い。七面鳥も鶏もたまに丸焼きにするが、胸やももが美味しいだけで、残りは処理が大変なだけだ。切り身を丁寧に料理する方がずっと美味しいと思う。

見た目は豪華だが、どうもハッタリ料理な気がしてきた…。

今度またイギリスに行くことになったら、本格ロースト・ビーフに挑戦したいと思う。



2012年4月26日木曜日

Swedish House Mafia - Miami 2 Ibiza (2010)



もう一つ、ついでに…。この曲もいいな。大人ね…。


 
Swedish House Mafia - Miami 2 Ibiza ft. Tinie Tempah (2010)

Released: Oct 01, 2010
℗ 2010 The copyright in this sound recording is owned by EMI Records Ltd
under exclusive licence from Swedish House Mafia holdings Ltd (BVI)

これはどこかで以前聴いたことがあったと思うが、 Swedish House Mafia だとは知らなかった。この曲は頭の中でリピートが止まらん。


 

2012年4月25日水曜日

Swedish House Mafia - Greyhound Live (Masquerade Motel, Miami 2012)



これは…いい!
 
 
Swedish House Mafia - Greyhound Live (Masquerade Motel, Miami 2012)

Released: Mar 12, 2012℗ 2012
The copyright in this sound recording is owned by EMI Records Ltd
under exclusive licence from Swedish House Mafia Holdings Ltd (BVI)


 
昨日のGreyhoundのビデオから興味を持ったので、ちょっと動画サイトをうろうろしたらこんなのが出てきた。スゲー! 盛り上がってるなー。

このSwedish House Mafia、全然知らなかったけどすごいな。こういう若い人の音楽を普段から聴いてるわけではなくて、特に探しているわけでもないのだけど、これは面白いものを見つけた。Daft Punkには全く食指を動かされなかったけどこれはいい。何よりもこの3人、なかなかの男前。男くさー。こりゃ、女の子達がぎゃあぎゃあ騒ぐのも無理は無い。歓声の半分は黄色い声だもの…。女の子にウケると規模が大きくなる。前列なんて女の子ばっかりじゃないの…(笑)。…またこの曲はよく踊れる…わらわら踊りたい。

どうせいつかこの動画も消されると思うので旬なうちにUPしておこう。

さて、Perfumeファンとしての心配は、もし彼女達がドイツのテクノフェスなんかに行ったら、こういう人達と対バンで同じような野蛮人な客たちを相手にしないといかんということです(彼らがテクノかどうかは知らないがたぶん客層は同じ)。このノリで(欧州なら)薬は当たり前のようにまわっているし、過去には人が亡くなったと聞く。やっぱりスタッフさん、下調べは十分したほうがいいと思います。


2012年4月24日火曜日

海外の近未来イメージとPerfumeを比べてみる


以前から、何度も言われてきたPerfumeの近未来イメージ。昔リリースされた近未来三部作からもう56年。あれからPerfumeはずいぶん近未来から離れていたはずなのに今でもあのイメージが残ってるのか…。長い間そんなPVもなかったのに、その後も近未来テクノポップユニットの記号が時々見え隠れしていた。武道館のオープニングもそう。ドームのトロン風衣装もそう。今回の「Spring of Life」のPVも久々の近未来イメージ。 セットもダンスも直球のごっつい近未来風ではなく、可愛くて彼女達らしい、日本らしい抑えたつくりになっていた。

さて、近未来イメージ。海外でもいろんなところで時々見かけるのでそんなものをちょっと挙げて比べてみようかと思った。Perfumeは最後に。



★Swedish House Mafia – Greyhound
  曲がなかなか始まらないけど

お金かけてるなー。これ割と最近の曲らしい。スウェーデンの「Absolute Vodka」社とのタイアップの広告らしいけど、Swedish House MafiaPVとしても出ているらしい。この映像のロボットは犬。広大な白いフィールドでのロボット犬でのドッグレース。Swedish House Mafia3人がいかにもな近未来風セッティングで犬を動かしている。観客はおそらく近未来の富豪をイメージした衣装なんだろうけど、中世風とかイタリアの仮面舞踏会風ですか…先鋭のデザイナーものなのかな。

あちらの近未来設定での衣装は過去の時代の服をアレンジしたものも多い。中世風のドレスや甲冑風なんてよくあるし、ローマ戦士風もよく見かける。そういえば、スターウォーズのパドメ(ナタリー・ポートマン)の髪型はあきらかに日本髪だった。
それ以外では、アメリカンフットボールのプロテクター風(トロン)、ラバースーツ(トロン)、レザースーツ(ブレードランナー、マトリックス)、ほとんど裸(フィフス・エレメント=他も全部ゴルチエの衣装)。ともかく基本的にカッコイイ系でカワイイは皆無。イメージは一貫している。


さてもう一つ。ちょっと前のエントリーにも書いたアメリカのテレビ「RuPaul’s  Drag Race」の番組予告。今シーズンのコンテスタントを紹介している。今年1月に番組が始まるまでよくTVでも流れていた。


★RuPaul's Drag Race Season 4 Trailer 
 

番組は文字通り「女装競争」なので、男を女に作り変える実験室のイメージだろうか。“Drag Droid”と言っている。男女半々のアンドロイドかな。これも近未来イメージなんだろう。もともとゲイの方々はセンスのいい人達なので、これも直球にカッコイイ路線だろう。実はこの予告を最初に見たときにPerfumeの「GAME」の時の黒い衣装を思い出した。ちなみに、この番組のスポンサーは、上記の「Absolute Vodka」社だったりする。この会社、もう30年ぐらい前から先鋭的な広告で知られた会社なので、この会社がこういうものを広告に使っているということは、近未来のイメージはまだまだイケテルということでしょう。



さてPerfume。可愛いです。

★Perfume - Spring of Life


このPVのロボットPerfumeは、彼女達が女の子女の子してるので、海外のようにこれ見よがしのロボット風でないのがちょっと異質。衣装も電飾は付いてるんだけど、真っ白ふわふわの柔らかなドレスで、こんな衣装は上記の海外にありがちな近未来スタイルには全然当てはまらない。珍しいです。首や腕の機械のイメージはすごくいい。ちょっとキモいのが素晴らしい。Perfumeの実年齢が23歳というのを考えると、こんな人形っぽいイメージで近未来っていうのは海外ではたぶんありえないはず。23歳にもなったらラバースーツとかレザースーツを着せられての近未来でしょう。外国はすぐセクシー路線にいくからなぁ…。こういうイノセントな人形路線はあまりない。貴重です。だからこそ(独自性という意味では)いいと思う(この可愛い路線が西洋にウケるかどうかは不明だけど)。西洋人から見たアジア人の女性にはイノセント(純真、無垢)な印象(ステレオタイプ)が一部既にあるものなので逆手にとって使える。こんなに可愛いのに、踊ったらロボットみたいに正確ですごいとか、 LIVEがすごいとか予想外のいろんなことでぎょっとさせることは可能かもしれない(ちょっとレザースーツなら見てみたい気もするが…笑)。

日本では宮崎駿監督の「ナウシカ」あたりからなのか、近未来と女の子の組み合わせが既にスタンダードとして定着していると思うのだけど、この組み合わせはたぶん日本だけじゃないかな…どうだろう…。はるか昔にはSF作家、星新一さんの話にもイノセントな女の子のロボットが出てくる話があったな…そういえば…。

近未来とカワイイ、日本独自のものなんですかね…。



2012年4月23日月曜日

Fierce - Sweet Love 2K (2000)


リリースは2000年。イギリスの3人のガールグループFierce(フィアース)。この曲1曲だけのOne Hit Wonder(一発屋・UKシングル#3)で消えてしまったらしいけど、このカバー曲は何度聴いたか分からない位好き。元曲はアメリカ人シンガー、アニタ・ベイカーの1986年の大ヒット曲で大人ベースにピアノの大人アレンジだったけど、私はこの方が好き。ビデオも可愛い。
 
FIERCE - SWEET LOVE 2K (2000)



この1曲が売れただけだったので英国国外にはあまり知られていないらしい。この曲は良かったんだけどな。アニタ・ベイカーのしっとり大人の愛の歌も、若い彼女達が歌うと踊りたくなるような楽しそうな恋の歌。カワイイ!

その当時のある日Oxford Circusのとある店で買い物をしていたら、この曲のビデオが店内の大スクリーンに流れて、わっと思って直ぐに何軒か先のHMVにシングルを買いに走った。

イギリスの女の子はアメリカのR&Bシンガーに比べるとちょっと上品でかわいい。



2012年4月22日日曜日

映画『タイタニック 3D/Titanic』:美しい映画、3Dの可能性


------------------------------------------------------------------------------------------------
Titanic1997年)/米/カラー
194分/監督;James Cameron
------------------------------------------------------------------------------------------------

97年に1度見て、今回2回目の観賞。今回は3D。いまさらロマンスのことは書くまい。それに、ディカプリオが現代人だとか、当時の常識で上流階級の娘が労働者階級の男の子に恋するわけがないとか、あのピカソやモネやドガやセザンヌの絵はどうなったのだとか、上流階級はそんなにヤナ奴ばっかりで労働者階級はみんなイイ奴なのかとか、ディカプリオのスケッチはそんなに上手くないぞとか…いろいろとあるけれど……しかし、こんな桁外れの化け物のようなすごい映画を見て、そんな小さなつまらないことにウダウダと文句を言うのも無粋というもの。この映画、まず豪華客船タイタニックの再現をじっくりと堪能するべきなのだ。すごいです。大迫力。素晴らしい。

今までに3D映画は、SFなどのCGを多く使ったものや、CGアニメなどで見ていたが、いまひとつ良さが実感できなかった。しかしこのタイタニックの3D化は、私の中の3Dへの考えを全く変えてしまうほど素晴らしいものだった。3Dで見るタイタニック、ほんとに豪華にリアルなのだ。俳優といっしょに、船内を歩いて、食事をし、お茶を飲んでいるような気がする。これは映画を見たというよりタイタニックを体験したと言いたいほどだ。ものすごく贅沢。


何から何まで、非常に美しい。ひとつひとつにため息が出る。
女性のドレスの絹のしっとした光沢、男性のピンストライプスーツの重い生地、華やかな食事風景、艶やかな家具、船内の豪華な装飾、それに人物の髪、肌、全てがリアル。彼らの隣にいてそんな物全ての実物を見ている気がする。こういうリアルな物の3D化がこんなにいいとは知らなかった。人の肌や衣装、家具の質感など、記憶で実感できるものだからなのだろうか、この映画の臨場感は、CGばかりのSF映画とは比べ物にならない。何から何まで怖いくらいリアル。


それに、主演の2人の俳優たちが非常に美しい。
若い白人の女性というのは、なんと綺麗なものだろうと改めて驚かされた。ケイト・ウィンスレットの目の青、クリームのような白い肌、ばら色の頬。赤い唇。特に肌がすごい。全体の色合いがものすごく綺麗だ。今までこの女優さんをこれほど綺麗だと思ったことはなかった。どちらかと言えば骨太の頑丈な体形も、絶世の美女というより地に足の着いた女性という感じだと思っていた。だがこの映画、20世紀の初頭。まだまだ19世紀風の美しさが強く残っていた頃。ああいう衣装で赤い巻き毛、豊かな白い肌の彼女は、まるでロッセッティ(Rossetti)やレイトン(Frederic Leighton)など19世紀英国、ラファエル前派の絵画をそのまんま再現したようなのだ。3Dで見せられるとため息が出るほど美しい。


Flaming June(1895) - Frederic Leighton

以前見たとき、ディカプリオは、ひょろひょろと背ばかり伸びた体に子供の顔が乗っかったような俳優だとばかり思っていたのだが、彼も 15年を経て3Dで見たら、その瑞々しい若い感じがこの話にはほんとにいい配役だったのだと気付かされた。毛穴のほとんど見えないつるっつるの肌。耳の下の首筋の清潔さが美しい。このカップルは3Dで見ると本当にいい。若い人というものは(その真剣さも純粋さも存在も)こんなに美しいものなのかとつくづく思った。


今回2回目の鑑賞で、話そのものも最初に挙げたような小さな疑問点がほとんど気にならないほど映画として素晴らしいものだったことに気付かされた。確かにファンタジー的な要素はある。しかし十分に感動できる。上流、労働者階級の矛盾よりも、若い二人の瑞々しさが圧倒的に素晴らしくて、それだけで押し切ってエンターテイメントとして納得させられるのだ。この二人の俳優・女優は、当時ほんとうに若かったのに(23歳と22歳)これだけの大作をリードするなんてたいしたものだと思う。ケイト・ウィンスレットの演技だけで泣ける、後の大女優ぶりもこの頃から見えていたのだなと実感させられる。まわりの配役もいい。それぞれの脇役の小さなストーリーも素晴らしい。それぞれは短い時間なのに全ての人物の話がしっかりと意味をなしている。


ローズが最後に笛を吹く場面では今回も泣いた。それに現在のシーンで、彼女のその後のいろんな写真を見る場面でまた泣けた。彼女は幸せな人生を送ったのだ。本当によかった。ローズのその後の人生を想像しただけで泣けた。彼女は思い出を深く心にしまって強く生きた。それに感動させられる。そして85年後、一人過去の思い出をダイヤのネックレスと供に海に沈める。大切な記憶は永遠に封印されたのだ。


少し前のエントリーで、今年のアカデミー賞の結果をぼやいていたのだが、実はこれが理由なのだ。ハリウッドは本気を出したら、こんなとんでもないものが作れる。だからこそ、昔の映画をコピーしたフランス映画に、その年一番の賞をさらわれて喜んでいるなんて、ハリウッドはいったい何をやってるんだと言いたいのだ。このタイタニックは、ハリウッドが本気を出したらどんなにすごいものが出来るかを見せてくれた映画。何から何まで最高峰。怖いくらいの完成度。今回、15年の時間を経て3Dで見て改めて実感させられた。やはりハリウッドにはこういう純正エンターテイメントに真剣に取り組んでいただきたい。




2012年4月19日木曜日

ドラマ『私が恋愛できない理由』初回


こちらの日本語チャンネルで今週から始まった。日本では去年の12月の放送だったらしい。予備知識ゼロで録画していた第1回を見た。

初回から泣いちまったよ…。もしかして素晴らしいドラマな予感…? もう若い人の話なんて…とも思うのだが、若い頃にはいろんなことに不器用だったことはよく覚えている。

香里奈さんが(ちょっと未練ありの)昔の恋人に呼び出されてウキウキしながら出かけたら、「オレ結婚するんだ」と言われて彼女を紹介された場面。その後、足早に立ち去るんだけど、ふと見たウィンドウに映った自分の姿を見る場面。うわーわかるなー。思わず泣いちゃったよー。…だいじょうぶ…だいじょうぶ…きっといいことある…。

吉高さんはいつも大好きな女優さんで、あの一瞬不安そうな独特の表情はたいへん貴重。

恋愛未経験な小さくて可愛い子も、とてもいい感じなのでネットで調べたら、なんとアノ有名なAKB48大島優子さんだそうだ。 知らなかった。可愛いな…。しかし彼女の名前で画像を検索したら、おっぱいの大きなビキニ姿が出て来てびっくりした(笑)。うわ全然役柄と違うのね。うひゃーAKBさんは可愛いと思うし何の文句もないけれど、それにしてもギリギリの商売してると思うぞ。 西洋に持ってきたらかなりアブナイパッケージかも。彼女達の母親に近い年齢の私としては心配してしまう。 それでも大島さんはとてもいい表情をしてました。まだ1回しか見てないけど、いい女優さんかも。

これは楽しみだ。



2012年4月18日水曜日

葛飾北斎 横町のオヤジは宇宙一



日本では今年39日に放送された『歴史秘話ヒストリア;いつだって負けずギライ ・葛飾北斎 横町のオヤジは世界一』、こちらでも最近放送されたので録画していたものを見た。

実はこういう日本を代表する昔の画家の方々に言葉には出来ないような思いがある。伊藤若冲もそう。こういう方々を見るとただただ問答無用にひれ伏したくなるのだ。彼らの人生に何らかの形(TV、本、展覧会など)で触れると、感動して感動して言葉も無くなってしまう。

西洋中心で引っ張っている現代の芸術は、いろんな余計なものがくっつきすぎた。昔ほんのちょっと美術を齧ってみて(学んだ分野は違うのだが)現代美術のあり方にはどうも馴染めずにいた。ロンドンに住んで90年代半ばのYBAsYoung British Artists)を間近に見ていたら現代美術が大嫌いになった。そして芸術そのものが結局どうでもよくなってしまった。…が、それでもやっぱりこの世の中、どうしても否定できない偉大な芸術家達はいる。そんな偉大な方々、その一人が葛飾北斎。


現在、北斎のような人はおそらくいないだろう。世間がああいう人の存在を許さないと思う。特に彼は究極の変わり者だったらしい。彼は絵=芸術のためだけに生きた。絵以外の事をいっさい構わない。人に対しても無愛想。身なりにも構わない。金銭にもいいかげん。基本的な衛生観念さえ無い。老いてますます変人になっていく。北斎を現在につれてきたら、毎日カップラーメンを啜り、風呂にも入らず4畳半(今時あるのかな)のボロアパートをごみだらけにして、コタツに入ったまま他の事をなにもせずに絵だけ描いている変人だ。江戸時代にさえ変わり者だったらしいのだから、相当だろうと思う。私もお友達にはなりたくないだろうと思う。

ところが、この北斎。絵に関してだけはとんでもないのだ。絵の為だけに生きて、90歳にしてなお「まだ時間が足りない。まだ上手くなれない」といって死んでいったという人なのだ。ああ、世界中探してもこんな人いるんだろうか。この番組ではそんな彼の一生をざっと追っていく。


彼が若い頃に狩野派の門を叩いたとは知らなかった。その後いろいろな○○派で学び、西洋画まで参考にしたらしい。当時の商館の西洋人にも絵を売ったりしていたのだそうだ。そんなふうに一生を絵師として生き、70代で有名な「冨嶽三十六景」が大ヒット。このシリーズの絵の構図がとんでもないんですね。どの絵もちょっと普通じゃ考えつかない構図。海外でも有名な「Great Wave」もこの中の一作品。もう、これだけでひれ伏してしまいたくなるようなすごさ。

『冨嶽三十六景』神奈川沖浪裏


そんな時、絵を見てもらおうとたずねて来た30代の歌川広重を「そんなの知らねぇよ」と追い返した北斎。そのため広重は一念発起。北斎に負けるものかと「東海道五十三次」を大ヒットさせる。それを受けて北斎も、負けじとまた「富岳百景」を刊行。負けず嫌いな爺さんなのだ。


その頃(75歳ごろ)の言葉が、
6歳から毎日絵を描いてきた。50歳までにいろいろやったけど、70歳になってもまだ全然ダメ。73歳になってやっと生き物の形がとれるようになった。だから、80歳になったらもう少し上手くなるだろうし、90歳になったらもっと絵に深みが出るだろう。100歳になったら神様のように描けるだろうか。100歳を超えれば私の描く線は自分から動き回るように生き生きとするかもしれない。どうか神様長生きさせてください。」 ここで私は泣いてしまう。


北斎爺の本物への欲望はまだまだ終わらない。ぞれまでに数え切れないほどの絵を描いてきて、世間的にも(現在は世界的にも)有名な「冨嶽三十六景」などの傑作を描いたのに、80歳も近い頃だろうか、
「オレァ、6歳の頃から1日も欠かさず、ずーっと絵を描いてきたのに、未だに猫一匹描けねぇ…。筆が思い通りになんねぇ…。」と言って泣いたらしい。(ため息)。
そして、90歳、傑作「富士越龍図」を描きその3ヵ月後に他界する。自らの死期を悟った北斎が残した言葉が「あと10年、せめてあと5年生きられたら、本物の画家になれたろうに…。」


こんな人いません…(大泣)。その後、フランスで彼の版画が評判になったとか、1998年にアメリカの「ライフマガジン」で「この1000年で最も重要な世界の人物100人」に選ばれたとかいろいろと有名だけど、そんなことどうでもいいのだ。ほんとにどうでもいい。こういう人に対しては「世界」の括りなんて小さい小さい。彼みたいな人は「人類史上」や「宇宙」の括りが正しい。人生全てをかけてたった一つの事「素晴らしい作品を残すこと」だけのために生きたこの人の人生そのものが芸術。一人の人間が、何かをとことんまで追求したらどんなものが出来るのかを一生をかけて実験したようなものだ。その実験期間は90年。こんな人いないだろうと思う。まさに画狂人。他人の評価なんて、この人にとってはどうでもいいことなのだ。評価できるのは神様だけ。この江戸の長屋住まいの偏屈じじい、最高にかっこよすぎる。あんまりだよ…この人。

信州小布施、上町祭屋台天井絵「男浪」

ずいぶん前に「北斎展」も見たし、いろんな機会に個別の作品も見たし、長野にも絵を見に行ったし、画集も何冊か持っているけど、こんなとんでもない人の作品は、見ていると吐き気がしそうになる。こんな内臓をつかまれるような作品は、現代美術家がいくら屁理屈をこねて小手先のアイデアをひねり出しても絶対に出来ないと思う。地道な訓練を重ねて、手(体)を使って作り出すものは、人間の脳(アイデア)で出来る範囲を超えることがある(すごい職人さんの仕事もそう)。そんなレベルの作品を「神様が降りてきた作品」と言うのだ。

すごいのは、絵で神の領域を目指した北斎の意志の強さ。 残した作品は万点。 生き方も人生も、全てそのためだけ。迷いはいっさいない。 きっと彼の人生は幸せだったろうと信じたい。昔の日本には、ほんとうにすごい人がいたんですよ。




2012年4月17日火曜日

天才中田ヤスタカの言葉遊び?


暫くコミュニケーションを聴いたのだけど、中田さんが言葉で攻めている。Perfumeはこの曲1曲だけなんだけど、きゃりーぱみゅぱみゅさんの歌詞は「音」の歌詞。妙な歌。こういうの言語にかかわりなく、すごく耳に残る。彼の書くキャッチーな曲と合わさるとすごく耳に残る。癖になる。中田さん海外向けにもいろいろと実験してるんでしょうか。英語では韻を踏む(Rhyme)とかあるけどそれにヒントを得たようなものなのか(日本語でもRapperの方がやってますね)。いやぜんぜん違うか…ただ変な響きだけ?(笑)海外の方にはどうせ日本語の意味なんて解んないんだから、これはいいと思う。妙な響きが面白い。アタマいいな。天才…?


★コミュニケーション★コミュニケーションぷるぷるつんつんこ・こ・ろ・をぎゅっとして/ぐ・み・ぐ・みコーミュニケーションはーとーぴゅーわには・ず・む
Candy Candy★キャンディーキャンディーキャンディキャンディキャンディ/スウィーティースウィーティーガーンーズラー
Cherry Bon Bon★チェーリ・チェーリ・チェリボーンボン/チェーリ・チェーリ・チェリボーンボン
PONPONPON★ポーンポーンウェイウェイウェイ・ポンポンウェポウェポンポン/ウェーイウェーイポンポンポン・ウェーウェポウェポウェウェー
★つけまつる★つーけまつーけまちゅけまつけー/ぱちぱちちゅーけまつーけーてー


???????????


2012年4月16日月曜日

映画『ハッピーニート おちこぼれ兄弟の小さな奇跡/Jeff, Who Lives at Home』;小さなサインの積み重ね


------------------------------------------------------------------------------------------------
Jeff, Who Lives at Home2011年)/米/カラー
83分/監督;Jay Duplass, Mark Duplass
------------------------------------------------------------------------------------------------



現在公開中のアメリカ映画『Jeff, Who Lives at Home』。直訳は“うちに住むジェフ”かな。

忘れないうちに感想を。

主人公はアメリカのひきこもり君。30歳で母親の家の地下室に住んでいる。階上にめったに上がらないと言っているので、ほぼ地下に独立したアパートを間借りしてるようなものだろううか。当然未婚、無職。身なりにも構わない。ちょっと前のメル・ギブソン主演の映画『サイン』を見て何か啓発を受けたらしい。ぶつぶつ言っている。ガールフレンドは高校生のころからいない。お兄さんは彼とあまり係わり合いになりたくないみたいだし、母親は彼にせめて「ソファーから動いてほしい」と心配して用事を言いつける。

日本だったらネット中毒のひきこもり君を想像してしまうけど、この映画、このひきこもり君が外の世界に出て行くお話。このタイトルで誤解をしてしまう方も多いかもしれない。話の展開も地味。だんだん話の輪郭が見えてくるのは半分以上過ぎてから。なので、若い人がデートで見るのには向かないと思う。ある程度人生に経験のある年齢層の方が向いていると思う。

結果は満足。最近アメリカのインディーズ映画によくあるタイプ。可愛くて、ほほえましくて、ちょっと考えさせられる話。小さな喜びの映画。傑作ではないが、こういう映画にあまり文句は言いたくない。


ネタバレ注意


30歳になってもひきこもっているジェフ君。ほんとに情けない。映画の主人公なのでかろうじて心配するけど、実際にこういう人がいたらかなり苦しい。無職でひきこもりなのはともかく、わけの分からないスピリチュアルな事を呟いててちょっと危ない。イイ奴だけどかなり心配だ。唯一本人が非常にマイペースなのが救いだろうか。

話が進むにつれて、ジェフ君のお兄さんの夫婦間の危機、それに退屈でつまらない日々を送っていると嘆く母親、そんなジェフ君の周りの人々の小さな問題が浮き彫りになってくる。ともかく「サイン」を探し続けるジェフ君。ゆるいコメディ・小さな幸せ系の映画。

この手の映画、ここ1015年ぐらいだろうか…アメリカ映画に増えてきた。『アメリカンビューティー』の冴えないサラリーマンがきっかけだろうか(あれはバリバリにハリウッド映画だったけど)。『アメリカンスプレンダー(2003)』『リトルミスサンシャイン(2006)』『サイドウェイズ(2004)』『Barney's Version (2010)』…。これらの映画、どれも悩み多き普通のアメリカ人の話だ。殺人事件も起こらない。スーパーヒーローもいない。美男も美女も出てこない。主人公はうだつの上がらないサラリーマン、事務職のおじさん、凸凹ファミリー、冴えないワイン通…等など、どこの町にもいそうな普通の人達だ。面白いのは、こういうインディーズ系のこの手の映画、英語圏では非常に評価が高い。特に中流のインテリ層が好きそうだ。どうやら「見ていろいろと考えさせられる映画」ということらしいのだ。

数が増えてきたせいで、最初は斬新で真摯で面白かったものが、だんだんと鼻につくこともある。あまり立て続けにこういうタイプの映画を見ると、無性にトムクルーズあたりの映画が見たくなる。要は地味な映画なのだ。アメリカの私小説風文芸映画と言ってもいい。この映画もそのタイプ。最初かなりペースが遅いので、いつ面白くなるかと心配になる。

基本は、ジェフ君とお兄さんが町中を走り回る話。ジェフ君は「サイン」を、お兄さんは彼の問題を追いかける。それに全く関係の無い母親のオフィスの話。この2つの話がストーリーの軸になる。一つ、二つと小さいけれど印象的なシーンが少しづつ話を構成していく。ジェフ君は「サイン」の意味を見つけるし、お兄さんは彼の問題を解決。母親も彼女の問題を解決するのだ。最後は皆やんわりとハッピーになる。

問題はジェフ君の「サイン」なのだが、この最後の「サイン」がらみの話のオチを、観客が受け入れられるかどうかで、映画の評価も大きく変わってくるかと思う。たぶんぎりぎりのところで成功しているのではないか(誰も殺さなくてほっとした)。特に2人の女の子が「パパが助からなかったら…」とTVのインタビューで答えるところに、ジェフ君の亡くなった父親の事を重ね合わせればその意味も大きくなる。もともとはジェフ君を疎んじていたお兄さんも、その日1日ジェフ君と一緒にいたことで大切なことに気付かされる。

サイドストーリーとして、母親の話は唐突にも思われるが、中心の兄弟の話とは別に、面白いスパイスとして見れると思う。本来ならこれだけで話が作れたかもしれない。問題のキスシーンは不快に思う人もいるのかもしれないと思うが、それほど直接的な意味は無いだろう。この母親の話、彼女が退屈な日常の中で人生を一緒に楽しめる友人を見つける話と思えば納得できる。彼女がそのことに気付く「滝」のシーンが詩的だと思った私は単純かもしれない…(笑)。


なんと言ったらいいか…。この映画、たぶん功名に出来た傑作ではない。しかし言いたいことはなんとなく分かる。ジェフ君のサインがそうであるように私たちの人生もたくさんの偶然や小さなエピソードが日々重なっている。そんな小さなサイン(偶然)に気付けば、人生、もっと違ったものになるのではないか…。それに小さいけれど大切な日々の事にももっと気をつければ、もう少し幸せになれるのではないか…。そんな話かと思った。

余談だが、ジョン・アービングの本『オウエンのために祈りを』を思い出した…。あれも、小さな偶然(必然)の積み重ねに神様の存在を見る話だったと思う。こういう映画が評価されるのならアメリカも捨てたもんじゃない。トムクルーズの映画の世界は、結局私たちの日常生活には何の関係もないことを、多くのアメリカ人もとっくに気付いているのだ、アメリカが日常の幸せというものに真摯に向き合ったFeel Good映画。小さいけどいい話だと思う。

追記;大昔(1986年)C. Thomas Howell主演のコメディ『ミスター・ソウルマン』に出ていて可愛かった女優Rae Dawn Chongが見事に中年のおばさんになっていてびっくりしたぞ。