能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2014年8月21日木曜日

BABYMETAL:『Metal Hammer』誌9月号の記事の意味



もうご存知の方も多いと思います。数日前英国で発売されたメタル専門誌『Metal Hammer』誌で、BABYMETALが大々的に取り上げられました。海外の音楽専門誌でフルカラー4ページ。これは本当にすごいことです。

記事はニューススタンドに並んだ雑誌のもので、内容は公式にはネット上にあがってないのですが、世界中のBABYMETALファンの方々が内容をネット上にあげて下さってました。日本語の完璧な素晴らしい訳もすでにネット上にあがっています。「BABYMETAL Metal Hammer 9月号 翻訳」などのキーワードで全訳が検索できると思います。

 
さてこの「BABYMETALはどこまでいけるのか」ブログでもこれは一大事。ネット上に情報があがらなければスルーしようかとも思ったのですが、これもBABYMETALの世界征服の一記録。ここではかいつまんで内容とその意味を書いておきます。
 
 
まずすごいのはフルカラー4ページの扱い。それも誌面のデザインや雰囲気を見る限り、バリバリにロックスターとしての扱いをされています。他のメタルのスター達と並んで4ページも特集されている。これはすごいです。
 
メタルの分野というのは、(様々な海外のメディアを見る限り)近年はもう昔のように誰もが楽しめる音楽のジャンルではなくなってきているようです。それならメタルの専門誌に採り上げられても意味があるのか…と考えることもできるのですが、そもそもBABYMETALは始まりが「メタル+アイドル」のプロジェクト。最初の目標がなんであれ、BABYMETALの音楽的なジャンルはヘビーメタル。なのであれば、やはりメタル界の範囲内でまず認められるのは第一。とりあえず一般層は今のところ「メタルリスナーの世界の外にいる」と考えるのが現実的でしょう。
 
BABYMETALは今、そのメタルのジャンル内でいろんな物議をかもしている…というのが現状。BABYMETALがこれだけ話題になってはいても、未だアジアの女の子達がメタルをやることを受け入れられない西洋のメタルヘッド達はいるし、そもそもこのBABYMETALプロジェクトが、個のアーティストの作品として制作されたものではないこと…プロデューサーに才能のある3人のフロントの女の子達、バカテクのミュージシャンのバックバンド、様々な作曲家に依頼して作られたジャンルを超えた曲の数々…そんな所謂寄せ集め的なBABYMETALのあり方に疑問を呈するコアなメタルファンは今もかなりいる。
 
 
ところが今面白いのは、そういう頭の固いメタルヘッド達に対して、多くのメタル専門誌、専門サイトがBABYMETALをオープンに擁護し始めていること。これは特に今年の夏の欧州ツアー、北米ツアーを終えてからますます顕著になってきました。これは今年の夏、実際にライブを見て納得してくれたメディアのジャーナリスト達がかなり多かったからではないかと思います。まさに期待どおり、今年の夏の海外ツアーは、BABYMETALのお披露目プロモーションツアーとしても非常にいい結果を出したということなんです。

 
昨日の『Blabbermouth.com』の記事もそう。この『Metal Hammer』誌の記事もそう。ちょっと前の『LATimes』紙の記事もそう。それぞれ実際にBABYMETALのライブを見て納得し、今度はそんなメディアが、抵抗を続ける頭の固いメタルヘッド達を説得し始めてくれている。これは面白いことになってきたと思います。
 
 
BABYMETALは、単なる「面白不思議ニッポン枠」以上のものになりつつある。この『Metal Hammer』誌の記事も、記事の中心はプロデューサー・Kobametalさんへのインタビューです。ただフロントの可愛い女の子3人に形だけのインタビューをして喜んでいるだけじゃない。このBABYMETALプロジェクトのマスターマインド・Kobametalさんに対して「BABYMETALとはなんなのだ?」という真面目な疑問をぶつけている記事なんです。英国の音楽ジャーナリスト・Dom Lawsonさんによるこの記事は、BABYMETALをリスペクトに値するバンド=プロジェクトであるとして扱ってくれている。理屈好きな英国人がこういう記事を書いてくれるのは非常に嬉しい。
 
 
これは、記者がただライブに行って「おおすげーじゃあ記事を書こうかな」というレベル以上のものだと思います。もっと踏み込んでBABYMETALとはなんなのだ…?という真面目な記事…BABYMETALのことをもっと知りたいと思ってくれている。これがこの記事の嬉しいところ。
 
Dom Lawsonさんは本当にありがたいですね。このお方は3月の『The Guardian』紙(このブログで訳してます)の記事でBABYMETALのことまず手放しで「とにかく楽しいんだ」と褒めてくれていました。それからソニスフィアの直後には『Metal Hammer』公式の映像でまたアルバム『BABYMETAL』のレビュー。そして今回、今度はプロデューサーのKobametalさんにインタビューをしている。記事全体が大絶賛です。こういう方が一人でも推してくださるというのは本当にありがたい。ありがたやありがたや…。
 
それでは褒めてくれている部分を抜粋します。(おおざっぱな意訳なので原文も。11句は訳してません)
 
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Some Kind of Monster
(これは怪物だ)
by Dom Lawson

If we hadn’t witnessed it with our own eyes, we would never have believed it.
(見るまで信じられなかった)から始まって
…(ソニスフィアの様子)…
The crowd – sizeable as the girls hit the stage, fucking enormous by the time they leave it – is going righteously and thrillingly bonkers. Is it metal? Is it pop? It’s both and neither. It’s Babymetal, and within 30 minutes they have not only won over a supposedly hardcore crowd of Maiden and Metallica fans, but, even more enjoyably, briskly shut the mewing gobs of a great number of tiresome cynics and online try-hards. Joyful, triumphant, and utterly bizarre, Babymetal have arrived and the UK is plainly digging it.
(観衆―最初から大きかったが最後はとんでもなく巨大になった―は超熱中。メタル?ポップ?どちらでもありどちらでもない。これはBABYMETALだ。30分の間にハードコアなメイデン、メタリカファンを抱き込んだばかりでなく、(なんとうれしいことに)うだうだ泣き言ばかり言う大勢の皮肉屋やネットのうるさい奴らを黙らせたのだ。素晴らしく楽しく、勝ち誇って、超珍妙で…BABYMETALはやってきた。英国はやられちまったのだ。

BABYMETALはその成り立ちから海外ではいろいろと物議をかもしたが)
But part of Babymetal’s irresistible charm is that, whether for cultural reasons or not, they don’t seem to acknowledge that divide at all. Musically, they are as heavy and sharp as any modern metal band. Vocally? Well, yes, the squeaky and undeniably pop-orientated voices of Su-Metal, Moametal, and Yuimetal remain wholly untouched by, say, Slayer’s back catalogue, but the final product itself is so deliciously alien and peculiar, not to mention delivered with with joyous enthusiasm, that griping about Babymetal not being “proper metal” just comes across as pointless posturing.
(しかしBABYMETALの抗いがたい魅力のひとつは、そんな物議(↑前述)を全くものともしないことだ。音楽的には他のメタルバンドと同じようにヘビーでシャープ。歌?うん…キーキーとポップな3人の声はスレイヤーのバックカタログにはないけれど。だけど作品は素晴らしく異国的で奇妙で、それに元気いっぱい。そんなBABYMETALが「正しいメタル」じゃないと文句ばかりを言うなんて、なんだか意味の無いかっこつけに思える。)

(キツネ様の話が…)
As preposterous as it sounds, there is something very clever and lovable about Babymetal’s back-story and the mystique that surrounds those who put the music together.
(…ちとばかげてるとはいえ、BABYMETALのバックストーリーとその音楽の成り立ちをめぐる神秘さは非常に気が利いていて愛すべきものだ)

(誰が作っているのかなどいろいろあるけれど…)
the reality is that in Babymetal’s world it really doesn’t matter a shiny shit. In fact, the whole thing works so brilliantly because it has side-stepped all the usual considerations in favour of the wholesale creation of a unique and fully formed world of its own.
(…実際にはBABYMETALの世界ではそんなことはどうでもいいのだ。事実(BABYMETALは)そんな当たり前の気になること(誰が作ったとか)をおいといて、その全てをユニークで独自のものを作り出すためだけに捧げているからこそ最高なのである)

As a result, Babymetal’s Sonisphere experience – not to mention the small matter of a show at The Forum that sold out in a matter of hours, after it had already been up-scaled from a much smaller venue – amounts to an unexpected but very welcome triumph for Key and the band and a very good omen for their collective future.
(結果的に、BABYMETALのソニスフィアは…The Forumが数時間で完売したなんて細かいことはともかく…想像以上の大ウケの大勝利でKey(KOBAMETAL)さんとバンドにとって非常に明るい未来を予感させた。)

Most of all, it’s obvious that their European adventure has gone way better than any of the three girls could ever have dreamed and that being a part of Babymetal is just about as much fun as any human being could realistically withstand. So yes, you can be cynical about Babymetal if you want. meanwhile, the band, their manager and an increasing number of metalheads are enjoying every second of this unprecedented and wonderfully demented phenomenon.
(何よりも、(BABYMETALの)ヨーロッパでの冒険は、この3人の女の子達が今まで想像したどんなことよりもずっと上手くいったのだし、BABYMETALの中にいることは現実に人間ができるどんなことよりも楽しいことなのは明らかなのだ。そう、そのとおり。BABYMETALに対してシニカルでいたいのならそれでもいい。だけどその間に、このバンドと、彼らのマネージャーと、ますます増え続けるメルヘッズたちは、この前代未聞の、そしてとてつもなくステキなイカレタ現象を11秒楽しんでいるのだ。)

Su-Metal concludes, eyes twinkling. “The response we’re getting makes us think we’re being accepted. It feels like a dream!”
Su-Metalは目を輝かせて締めくくった「(ファンから)こちらに返ってくる反応を見ていると、私達は受け入れられたんだなぁと思います。夢のようです。」