能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2017年3月27日月曜日

TBS 火曜ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』全11回・感想



録画を見終わった。面白かったです。

日本では去年の秋から年末に放映されて大ヒット。星野さんの主題歌も大ヒット。アメリカでのTV Japanで放映されたのは今年に入ってから。先週が最終回。

面白かったです…けど不思議なドラマでした。10話までは不思議な話よ。ところが最終回でぐっと面白くなった。とても良かった。最後はシメたな。


原作は漫画だそうだ。そのせいなのか若い人のムラムラしたリアリティは全く無し。小奇麗な若者が綺麗に可愛らしくゆっくりゆっくりと愛を育む優しいストーリー。とても可愛いのね。とてもイノセント。

それがいいんですよね。このドラマには体臭とか汗とか胸毛とか脛毛とか鼻毛とか全く存在しない。若い人の恋愛ものなんだけれど、キャラにもストーリーにも性欲というものが全く存在しない。…まぁ不思議よこのドラマ…オバチャンには。でもとても可愛い。

なんだろう…ロボットとも違うけれど、リカちゃん人形とワタル君とか(古い)、小学生のおままごとに見えてしまったり…。だから実は最初は話半分で見ていたんですよ。リアリティが無さ過ぎて面白くないんだろうと思っていた。でも回が進むにつれてだんだん楽しくなってきた。おままごとでもいいじゃん。可愛いわこれ。

そして最終回で高レベルのシメ。いい話じゃないか…。



ドラマはその時代の世相を反映すると言いますが、このドラマもそうなんでしょうかね。近年の日本では結婚や異性との出会いさえめんどくさいと思う若者が増えているんだそうだ。草食系というらしい。このドラマはそんな草食系の増えた日本を反映しているんだろうか。

まず津崎平匡(星野源)さんが可愛い。でもこんなに可愛らしい36歳(彼女いない歴=年齢)の男なんてまさか実在はしないだろう。星野さんの配役が良かったですね。彼は外見もつるっとして清潔で汗もかかなそうだ。ガチガチに真面目で完璧主義者で潔癖症で全く性欲の無さそうな男なんて現実にいたらヤバそうなのに、このドラマの平匡さんは妙に可愛い。このキャラには成人の男臭さがゼロ。子供がそのまんま大きな大人になって子供のまんまのイノセンスを持っているような人物。…う~んしかしやっぱりこんなに小奇麗で可愛い36歳のおじさんは現実にはいるまい…。

しかし不思議なのはこの性欲ゼロの36歳のロボット君が、日本では成人の女性にも人気らしいこと。これだけドラマがヒットしたということは、多くの30代、40代の女性も平匡さんのような人がいいと思っているんだろう。それこそが今の草食日本の現状なんでしょうかね。25歳過ぎの女性なんて本来もっと男臭いのがいい年齢じゃないの?

さて森山 みくりさん(新垣結衣)。この新垣さんがまたお人形のように可愛い。とてもイノセント。リアリティの話をするのなら、この子にも性欲は無さそうだ。真面目でイノセントで可愛くて有能で頭もいい。素直に反省もできる。(内気な男が怖気づくような)むっちりとした色気はないけれどスタイルはいいし綺麗。そんな女の子が相手の男性には一途。 …おぃぃいい彼女はほとんどの日本の男性の理想の女ではないか…いやすごいな。なるほどね。


このドラマを見ていると今の日本の理想の男女の形が描かれているのかなぁとも思う。相手に対して一方的な欲求はしない。お互いに控えめ。ベタベタせず相手を思いやって気持ちのいい距離もある。言葉遣いだってお互い敬語だ。お互いにあまりギラギラした欲望もない。おだやかに優しくいたわり合って静かに淡々と暮らす…そんな幸せ…。

…おいっそれって昭和初期の若い夫婦のかたちよ。お互いロクに知らない若い男女がお見合いで結婚して幸せを育み静かに淡々と生きる。会話はもちろん敬語。上品で穏やかな昭和初期のウブな若い夫婦の関係。それを現代の男女の位置関係とユーモアで味付けして見せた感じですか。なんと時代が一回りしちゃったのかしら。面白いですね。


現代の内気な防御系の男性達には、みくりさんのような女性は最高の理想なんでしょうね。彼女は外見が美しいだけではない。(必要に迫られてではあるものの)平匡さんの前に突然現れて、ほんの少しの時間一緒にいただけで平匡さんへ一方的にラブラブ状態になって、かなり積極的にアプローチしてくれる。男性が動かなくてもみくりさんが踏み込んできてくれているのね。でもイノセントだから可愛いし無理強いもしない。

みくりさんは辛抱強くゆっくりゆっくりと平匡さんの心の壁を溶かしていくんですね。まぁ本当にみくりさんは平匡さんのどこにそんなに惹かれたんでしょう。

それにしても36年間凝り固まった防御系男のプライドの壁を取り除くのは誰にとっても至難の業。殆ど無理でしょう。大抵の女性は途中で諦めますね。ドラマでは平匡さんがいつ落ちるかいつ心を開いてくれるのか…で話にひきこまれました。…みくりさんは平匡さんみたいな男性にとって救いの天使。確かにありがたい最高の女性だ。


さて最終回は駆け足だったけれど、驚くほど夫婦のいろんな現実的な話が盛り込まれてとても面白かったです。

★結婚に関する沢山の問題提議…
…既に同居はしていても、プロポーズにはやっぱりロマンティックな理由が欲しい。なぜ結婚するのか? 結婚すれば本性が出る(みくりさんは実は几帳面じゃない)。そもそも主婦の家事の値段とはどういうものなのか。奥さんが外に出て仕事をするようになったら家事をどう分担するのか。分担のバランスは? 相手の家事をあたりまえに思わないのか? 家事はボランティアか?「結婚は好きだけではやっていけないこともある」…そんな結婚にまつわる現実的な事柄に(駆け足ではあれ)多く触れていたのが大変面白い。

この二人は「愛があるから」と事柄を曖昧にせず、理詰めで答えを出していくのね。夫婦は「共同経営責任者」…そのとおり! この二人は結婚しても上手くいきますね。こうやって実際の結婚も理詰めでやったほうが上手くいく。

「共同経営者会議」…実際の結婚もこんなものです。平匡さんは大変協力的。とてもいい人。理詰めばかりで疲れたら「愛」も提示して「大丈夫」と言ってくれる。なんと素晴らしい。最高じゃないか。そうそうみくりちゃん平匡さんをしっかり捕まえときなさい。めったにいないいい旦那さんよ。


ところで(外にいた)十姉妹が最終回だけ鳥かごに入っているのは、二人の関係を示しているんですかね。なるほど。


イケメンの風見さんとお姉さんの百合さんの関係も最終回でシメましたね。しかしこの二人は難しいな。17歳の年の差は私には絶対に無理だ。せめて6歳でぎりぎりか。 これがOKなのは石田ゆり子さんだからでしょう。この最終回で百合さんが年の差の話(17歳のギャップは決して縮まらない)をするところはなかなかいい脚本。好きだからと簡単にOKにしてしまわないところがいい。

それから最終回の傑作場面。百合さんが若い小娘のいじわるな言葉に、静かな反論をしたのが大変素晴らしい。「私お姉さんの半分の年なの」と言う小娘に対して諭すように百合さんが話し始める。あまりにも素晴らしいので書き留めておこうか。

…「私がむなしさを感じる事があるとすれば、あなたと同じように感じている女性がこの国には沢山いるということ。今あなたが「価値が無い」と切り捨てたものは、この先あなたが向っていく未来でもあるのよ。自分が馬鹿にしていたものに自分がなる…それって辛いんじゃないかな。私達の周りにはね、沢山の呪いがあるの。あなたが感じているのもその一つ。自分に呪いをかけないで。こんな恐ろしい呪いからはさっさと逃げてしまいなさい。」

ほおおおおおおおコレは名台詞っ!思わず身を乗り出しましたよ。素晴らしい。上手いもんだ。大きな拍手パチパチパチパチ8888888…。
 
最終回はとにかく詰め込んで詰め込んでミッチリと濃いドラマでした。最後に決めましたね。最後に上手くシメてくれたので全体の話の印象がかなりいい。
 
良作。面白かったです。
 

 
ところで風見さんの大谷亮平さんは加藤剛さんに雰囲気が似ている。昭和顔。
 
…しかし17歳の差は大きすぎる…。50歳で33歳? これからは風見君の頑張りだよなぁ。だいじょうぶかね…最後まで疑問は残る。せめて10歳ぐらいにすればいいのに…年の差。