能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2017年4月23日日曜日

(苦肉の)超初心者のためのオペラの楽しみ方



オペラを年に3回ほど見る。アメリカの地方都市はどこでもそうであるように、この地にもローカルのオペラカンパニーがある。毎年ニューヨークやサンフランシスコ辺りの(おそらく)中堅以上の歌手を数名招いて本格的な歌劇をやる。

この地での1年のシーズンのショーは基本的に3演目。ひとつの演目はそれぞれ3日間で3回しかない。どうやら地方都市なのでオペラファンの数も少なく3日以上は客が呼べないらしい。もったいない話だ。カンパニーの運営もほとんどは企業からのスポンサーシップとオペラファン有志の寄付で成り立っている。もしかしたら毎回赤字かもしれない。それでもこの土地には熱心なオペラファンがいる。彼らのサポートによりこの土地でのシーズンも始まってからもう30年以上経っているのだそうだ。

数年前からシーズンチケット(年通し3回分のチケット)を買い、演目の好き嫌いを関係なく見に行っている。いままでこの地で見たオペラは20演目ほどだろうか。面白いものもあれば全く理解できないものもあった。いままでオペラのことをここに全く書かなかったのは、知識が無さ過ぎていいのか悪いのか…いや好き嫌いさえもよくわからなかったからだ。無知が好き嫌いを晒しても恥をかくだけ…そんなわけで今まで書くことなく時間が過ぎた。

最初はよくわからなかった。どう楽しんでいいのかもわからない。音楽は美しい。特に19世紀以前の作品はどれもキャッチーで楽しい。しかしたまに催される近年のモダンオペラなどは苦痛でしかないものある。それでも見れば見るだけ経験は積めるだろう…学びのつもりで何度も見ていれば、そのうちわかるようになるのではないか…そんな感じで毎回見に行っていた。

先週の週末にオッフェンバックの『ホフマン物語』を見た。
それがなんと
面白かったのである。
だからそのことを記録しておこうと思った。20回以上もオペラを見て初めて心の底から面白いと思った…なんとも情けない話であるけれど…。
 
どうやって、そしてなぜ楽しめたのかをまず書いておこう。オペラを見始めた最初の頃は楽しみ方が本当にわからなかったのだけれど、今回なんとかわかり始めた気がした。これは海亀が全くの無知から手探りでやっと探し当てたオペラの楽しみ方の基本。馬鹿馬鹿しいくらいの初心者用のアドバイスです。
 
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1予習をする
おおまかなストーリーを抑えておく。大雑把でいい。Wikipediaなどでのあらすじはおすすめしない。あまりに詳しく書いてあるので混乱してしまう。できるだけ完結で大雑把な内容をネット上をうろうろして抑えておく。たとえば『ホフマン物語』なら「詩人ホフマンが3人の元カノとの失恋話をして酒場で酔いつぶれ、最後は今の彼女のステラも恋敵にとられてしまう」などなど乱暴なくらい大雑把でいい。そこから今度は、もう少し踏み込んで、劇の構成を覚える。それぞれの幕でどんな人物が出てくるのかを覚えておく。だいたいのあらすじを覚える。

2会場では字幕を見ない
劇が始まったら、少なくとも字幕で話をわかろうとはしないほうがいい。英語圏では、フランス語やイタリア語、ドイツ語の演目は英語の字幕になるので、字幕を見て考えている間に大変多くの情報を、見逃し、聴き逃してしまう。英語の字幕を追っている間に、肝心の音楽や歌声に注意がいかないのは大変困る。だから事前にストーリーを抑えておく。細かい台詞の内容はわからなくても全く問題ない。わからない言語ならなおのこと。字幕は一切見なくてもいい。たいしたことは言っていない。

3あくまでも音楽に集中する
…そして舞台のデザイン、演出、衣装、演者の方々…舞台上の歌手の表情や動き、声を出す様子、歌声の細かなニュアンスのひとつひとつ、オーケストラの楽器の音、全体の音…音楽を楽しむ。舞台上で目の前に起こっていることをひとつひとつ楽しむ。そして音楽に耳をすます。
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これが海亀がやっとたどりついたオペラの楽しみ方。楽しみ方とは言ってもまだ第一歩を踏み出したばかり。超初心者用の基本中の基本情報です。初心者にとってオペラの字幕は本当に邪魔。オペラを楽しむなら字幕を見て筋を追ってはいけない。人間の脳は多くのことを一度には処理できない。だからオペラはとにかく音楽と舞台上の出来事に集中する。言語が理解出来るならラッキー。しかしわからなくてもいい。それぞれの楽曲を音楽として聴けば十分に楽しめる。何が起こっているかをおおまかに理解する為にあらすじだけは予習していった方がいい。とにかく決して字幕に集中してはいけない。
 
 
今まで20回以上オペラを見て、今までそんなこともわからなかった。本当にずいぶん長い間オペラの楽しみ方さえわからなかったわけである。本当に困ったものだ。自分であきれてます。『椿姫』も『トゥーランドット』も『蝶々夫人』も『アイーダ』も有名どころはかなり見たはずなのに、それらがあまり記憶に残っていないのは、字幕を見ていて音楽を聴いていなかったからだろうと思う。なんと愚かな。自分でもあきれてものが言えない。
 
あ、そういえば、予習はおそらく19世紀以前のスタンダードなオペラでしかできないだろうとも思う。いくつか20世紀に作られたモダンなオペラを見たけれど、ああいうのはたぶん予習も出来ない。
 
モダンなオペラはもう諦めてます。先日見たアンドレ・プレヴィンの『欲望という名の電車』はさっぱりわからなかった。あんな妙な物わかるわけがない。好き嫌いだからしょうがない。オペラは過去から19世紀までの有名でキャッチーなのがいい。モーツァルトの『魔笛』はとても楽しかった。曲がいいだけで単純に楽しめる。
 
今回、この「字幕を見ない、字幕に惑わされない」という(今まで知らなかった…おそらくあたりまえの)オペラの鑑賞の基本をやっと理解できたのでここに記録しておこう。これからもう少しオペラを純粋に楽しめるようになるかもしれないと思う。ちょっと楽しみになってきた。
 
というわけで『ホフマン物語』の感想は次に書こう。