能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2014年1月21日火曜日

Perfume:また対バンツアーだそうだ



正直に書きます。辛辣です。

うひゃーまたまた対バンツアーだって…なんだか萎え萎え…。

もういいですけどね。これって働き者のPerfumeさん達への年に1度のごほうび営業みたいなもんなのかしら。だって…内輪ウケでしょ…コレ…誰得なんだ。Perfume得…?

だってね、Perfumeちゃん達は楽しいばっかりでしょ。大好きな憧れのアーティストと同じステージに立って、楽屋で親交を深めてサインなんかもらっちゃったり握手したりハグしたりしてうひゃひゃひゃおいしい嬉しい楽しい売れてよかったなーアタシタチ…って企画でしょこれ。

去年はまあいいかと思ったんですよ。斉藤さんも奥田さんもマキシマムさんもいい感じでしたし。ライブの様子も微笑ましい感じだったみたいだし、それにどうせ1度だけだと思ってました。

…が、今年2回目よ。オイ。これ毎年レギュラーになっちゃうの?


なぜ海外組みのワタクシが文句を言うのか…。というのはですね、

Perfumeはワンマンをやってなんぼ。
…でそのビデオを商品化してくれてなんぼ

だからです。映像化されなきゃ見れないからなんです。

 
もし今回の対バンツアーがPTAファンクラブツアーとか、小規模ホール全国ツアーとか、ワンマンライブでフルセットをやるのであれば、どれかが何らかの形でビデオ商品化される可能性はあると思うんですよ。
 
しかし対バンだとPerfumeの出演は半分の時間なんで、まずビデオの商品化はされないでしょう。それがね…つまんないの。
 
ステージだって他のバンドとのシェアであれば凝ったデザインも出来ないですしね。バンドが演奏した後のステージに3人が素で出て行って、チョコチョコっと10曲やってアンコールでバンドをバックに生歌。なんだかな…。
 
 
それに、これは余計な老婆心ですけど、こういう対バンツアーってビジネス的にもたいして儲けにはならないと思うの。対バン様にもギャラは出るだろうから、ライブの収益でのPerfume側の実入りも減るでしょうし、それに何よりも対バンの相手のバンドのファンが今さらPerfumeのファンになる可能性って少ないんじゃないかと思う。そもそもバンドのファンってアイドル枠には非常に厳しいんじゃないのか…。どちらかと言えばPerfumeのファンが、相手のバンドに流れる可能性のほうが大きいんじゃないかな…。バンドのライブは生で見ればやっぱり面白いですからね。
 
そんなところを考えても、この対バンツアーはPerfumeさんご本人達が楽しい以外には何の得も無いような気がする。Perfumeのファンの方たちだって、チケットが取れなければ不満しか出ないでしょう。6500円も払うのならフルセットが見たいPerfumeファンの方がずーっと多いと思う
 
 
それでもいいのかもしれないけど…。何だかファンが望むPerfumeの形とPerfumeの望むPerfumeの形にちょっと温度差がある気がしてきた。私は大いにありあり。クリップ集は予約したけど…これも発売が遅いですよね。Youtubeフル解禁の前ならバンバン売れただろうに。
 
去年のロンドンライブの映像も商品化してほしかったわ。そのうち出るのかな?まだ期待していい?
 
 
ともかく、こういう内輪な遊びを年1でスケジュールに入れたいのなら、もう夏は大型フェスなんかでお茶を濁さずに毎年ワンマンツアーでもやった方がいいと思う…。
 
去年の対バンツアーが発表になった時も、ワタシ文句言ってましたから今年も同じね。だってまったく蚊帳の外だからしょうがない。また5月以降の活躍を祈る。
 
きゃりーちゃんはがんばっとるんだけどなぁ…。


2014年1月20日月曜日

NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」第3回「命の使い道」



今回はまた脚本の粗さが気になったかな…。この大河、演出は凝ってていいと思うんですよね。戦いの場面や、夜の光、堺の街や死体累々の場面なんかも雰囲気はすごくいいと思う。…なのに肝心の脚本が粗いのがもったいない。雰囲気が良くて脚本が粗いって…『平清盛』を思い出してちょっと心配ですな。

先週はいろんなことがあったんで、話に引っ張られて脚本の粗さが目立たなかったんですよ。しかし今回は、おたつちゃんの死で官兵衛君が悲しんでて何も起こらなかったんで、脚本の細かいところが気になったという感じです。


そんなあたりの文句をちょっと…。


まず、おたつちゃんをガールフレンドにする必要無し。

もともとおたつちゃんは、史実では官兵衛君の妹だったらしいです。だったら妹でいいじゃないか。あんなに簡単に殺されちゃう役だし、これから本妻と大恋愛なんだろうから、わざわざおたつちゃんを恋人にする意味は全く無し。子供同士ですしね。妹でいいんですよ。官兵衛君も可愛い妹を殺されて悲しむ方が普通でいいと思う。今回、まずこの不必要な恋愛設定でなんだかな~と残念な印象。
 
だいたい姫路から浦上家まで馬で行くのにどれぐらい時間がかかるのか知らないけど、官兵衛くんが一人で出掛けて行ったら、おたつちゃんがまだ生きてるなんて…ちょっと演出ベタベタよ…アナタ。
 
そんなわけで、ガールフレンドを殺された官兵衛君、1回分悲しい悲しいと言い続けて1話終わっちゃった。刀をブンブン振り回して藪を刈ってたのは、まぁよしとしよう…。
 
 
脚本の粗さと言えば…爺ちゃんの話。官兵衛君、大好きなガールフレンドを亡くして死にそうなくらい悲しんでいるのに、おせっかいな爺ちゃん「いや…実はな…おたつはお前の事が好きだったのじゃ…」なんてすごく残酷じゃない?言う必要ないですよね。ひどく無神経。もう彼女も生き返らないんだから忘れさせてあげなさいよ。そしてその直ぐ後に「官兵衛…世界は広いぞ…」なんてのも変な台詞。そんな…ガールフレンドを亡くして頭がいっぱいな子供に言う言葉ですかね…。これも無神経。もちろん俳優さんが悪いわけではないですよ。問題は脚本。爺ちゃん、急にお亡くなりになったし。
 
ところで江口信長は色が黒い。信長さんは性格はうつけものでありながらも、正装をすれば上品にピシッと決まる人だったと聞いてますが、このドラマでは今のところワイルドですね。この信長さんはハゲ月代ヅラを被ってくれるのかな…。濃姫は江口信長と一緒いるとなんだかとても嬉しそうだ。
 
それから堺の今井宗久さんは、官兵衛君に「織田信長様が鉄砲を沢山買った…木下藤吉郎さんが来た…」などとぺらぺらしゃべってましたが、いいんでしょうかね。一応こういうのって他国の軍事機密だと思うのですが、商人がお得意さんの軍事機密をばらまいてもいいのかしら…と心配になった。
 
 
さて今回一番良かったのは荒木村重ちゃんです。田中哲司さんが好きなだけ。なぜかこの俳優さんを見てると嬉しくなる。しかしこういう大雑把で大きな子供みたいなキャラはいいな。可愛い。今後もよく出てくるのかしら…。ネット上で言われている饅頭事件とはなんだろう…?
 
ワタクシこの時代の歴史も「過去の大河ドラマを見た程度」の知識しかないので、これからどうなるのか楽しみです。脚本が粗いのはしょうがないみたいなので、これからも毎回文句を言いながら気楽に楽しもうと思う。

 

2014年1月16日木曜日

映画『あなたを抱きしめる日まで/Philomena』:お母さんの気持ち・息子の気持ち



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Philomena2013年)/英仏米/カラー
98分/監督:Stephen Frears
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去年、暫く前に見たんだけど、何故か感想を書けずにそのままになってました。

原作は実話。監督さんは『Queen』の監督スティーブン・フリアーズさん。素晴らしい配役。事実を事実として描く冷静な眼。ある女性の実話をそのまま映画にしたもの。落ち着いていて地味ですが、心を動かされます。

こういう映画は感想を書くのが難しいです。見てからいろいろと考えているのだけど、どう感想を書いていいか分からない。しかし素晴らしい映画。


★あらすじ

1952年のアイルランド。主人公フィロミナは若い時に未婚で妊娠してしまい、家族からカトリックの修道院に入れられ、そこで男の子を出産する。子供の名前はアンソニー。しかし彼は3才で連れ去られてしまう。アメリカで養子になったらしい。それ以来息子には一度も会っていない。50年後、アンソニーを探しに彼女はアメリカに渡る。元政治ジャーナリストのマーティンも同行。フィロミナとマーティンのアンソニーを探す二人旅。

主人公フィロミナは英国の名女優ジュディ・デンチさん。ユーモラスな普通のおばちゃん。よく喋ってすごく可愛い。過去にそんな悲しい経験をしていたなんて思えないほど明るい元気のいいおばちゃん。悲しい事があっても人前では涙を見せない。芯の強い女性です。彼女の旅に同行するのは元政治ジャーナリストのマーティン・シックススミス。英コメディアンのスティーブ・クーガンさんが演じる。



★ちょっとネタバレかも


この話は、お母さんと息子の話なんですね。

50年以上も前に連れ去られた息子に会いにいくお母さん。いろんな想いを50年間も抱えてきた。息子に会いたい。元気でいるだろうか。幸せだろうか。私の事を恨んでいるだろうか…。そもそも息子は私の事を覚えていてくれるだろうか…?

最初は、一般人の個人的な話になんてあまり興味のなさそうだったエリート・ジャーナリスト、マーティンも、フィロミナと旅を続けるうちにいつしか実の息子のように打ち解けてくる。二人のやりとりがいい。本当の親子みたい。微笑ましい。二人を見ていて何度も笑った。

一見楽しい珍道中を続けるうちに、次第に真実が浮かび上がってくる。フィロミナさんも迷ったり悩んだり悲しくなったり…。それをマーティンさんが息子のようにしっかりと支える。


本当にこの二人が親子そのものなんです。

最後に全てのことが明らかになって幕を閉じる。マーティンさんがアイルランドの修道院での過去の事実を暴き出し怒りを爆発させるが、フィロミナさんの気持ちは落ち着いている。なぜなら彼女はこの旅を終えたことで心の平和を摑んだから。この旅で彼女の魂は救われたんです。

やっと探し当てた真実。50余年も抱え続けた疑問の答え。その結末は彼女にとっては十分に幸せなものだったのだろうと思う。最後のフィロミナさんの穏やかな表情にじーんときます。お母さんが知りたかったのは息子の気持ちだった。


演技も配役も最高。ジュディ・デンチさんは本当にすごいです。映画によって全く違う人物になりきる名女優。スティーブ・クーガンさんもステキです。最初は一見冷たいエリート記者も心の中は優しい紳士。この二人が大好きになる。そして私達も彼等二人と一緒に旅に出るんです。

静かな映画ですが心に染みます。いい映画。


ところで、この邦題『あなたを抱きしめる日まで』って、これだけで泣けるんですけど…。


2014年1月15日水曜日

Perfume:のちさんの困り顔



 
小さいPerfumeさんの写真なんですが、
 
よーく見るとのちさんが困ってます。

真っ直ぐに伸びたその手の向こうに彼女は何を見ていたのか…。

これいつの写真でしょう。「ねえ」ですか。

困った顔が超かわいいんですけど。

このお方は時々びっくりするくらい子供みたいな顔をされますね。

可愛い。
 
 
 

2014年1月14日火曜日

映画『Her/世界でひとつの彼女』:星新一の近未来2013年版



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Her2013年)/米/カラー
126分/監督:Spike Jonze
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人間とA.Iの恋。あー…これはね、SFの永遠のテーマだな。いかにも星新一さんが書きそうな話だ。…そうそう星さんが60年~70年代にショート・ショートSFを書いていた頃は、今のようなスマホもPCもインターネットもiPadも無かったんですよね。当時のこの手の話は、人間とロボット…コンピュータらしきものとの関係の話でした。

一昨年、映画『素敵な相棒~フランクじいさんとロボットヘルパー/Robot and Frank』を見たときに、人間とロボットのもっと現実的な関係を描いた映画を誰か撮ってくれないものか…と書いたんだけど早速出ましたね。今回はロボットではなくオペレーション・システムの声です。機械の声と人間との関係。

近未来の設定ですが、これみよがしのSF風ではなくいかにも普通の風景。たぶん今から20年、30年後の未来という感じかな。歩いてる人の服装も、街の風景も今と殆ど変わらない。普通。ものすごくリアルなほんのちょっと先の近未来の設定だと思う。


主人公は離婚寸前の寂しい会社員ホアキン・フェニックス。このお方もオジサンになりました。普通のさえないオジサン風。さて問題のOSガールの声の主はスカーレット・ヨハンソン。この女優さんのハスキーな声がセクシーなのかどうかは私にはよく分からないが、セクシーな声を見た目がセクシーと言われる女優がやることもなかろうに…。私はこのおっぱい女優があまり好きではない…。

それはともかく、これはワタクシすごく好きなテーマ。まさに星新一さんが今の時代に書きそうな話…いや彼はHな話は書かないんでしたな…。それでも十分に星さんの描くライトな近未来の雰囲気はあると思う。こういう機械と人間の話は今でもドキドキする。


内容の感想に行く前に、まず映画として面白いところ、いい所を書きとめておきたい。

1. ホアキン・フェニックスが上手い

今年のコメディ・カテゴリーのゴールデン・グローブ主演男優賞はデカプリオが取ったらしいですが、まーあのレオ君の『Wolf of Wall Street』のぶっちぎれ演技ならしょうがないでしょう。しかしね、このホアキンさんはいいですよ。ものすごく自然。ものすごくリアルな寂しいオジサンです。奥さんと別居中でもまだ未練タラタラ。忘れられないのね。仕事は手紙の代筆業(?)。客のために手紙を創作して書き上げるお仕事。一日中コンピュータに向かって誰かへの手紙を入力する。そして帰ってきて家で一人ゲーム。ああ…いかにもリアルにいそうな悲しいオヤジだ。間違いなく内気なギーク(オタク系)の中年なのだけど決して憎めない。可愛いぞ。イイ奴じゃないか。なんか…理解できるわこの人。若い女の子には単にキモイおっさんかもしれぬがワタシは大丈夫。お友達になってもいい。ともかく、このホアキンさんが2時間延々と一人芝居をする。相手はイヤホンから聞こえてくるOSの声なので相手がいないんですね。だから彼がずーっと宙に向かって一人芝居をしている。でも上手い。ちょっと泣ける。本当に表情豊かですごいと思う。もし今年デカプリオが頑張らなかったら主演男優賞はこの人だったろうと思うくらい上手い。

2. とても近い近未来の風景が面白い。

近未来と言っても銀色のスーツなんて出てこない。今の都市の生活と一見殆ど変わらないんだけど、よく見るといろんな細かい違いが見えてくる。この映画はそんなリアルな近未来の演出が非常に上手いと思う。

①なぜか男性のパンツ/ズボンのウェストの位置が高い
すごく変。お臍から10㎝くらい上の位置にウェストがあるのでとても変。ほぼ全員がそんなパンツをはいている。ウェストの位置以外は全て普通。だからますますウェストの位置に違和感がある。時代が変われば流行りも変わるということだろう。こういう微妙な服装の違いこそがリアルな近未来。
 
②ちょっと近未来の仕事環境・住環境が面白い。
主人公の働く会社は仕事の内容から見ても、それほど最先端ではなくて普通の中小企業っぽいんだけど仕事場はおしゃれ。今の最先端なIT企業のオフィスが入ってそうな仕事環境。要は世の中が今よりもちょっとだけ進歩しているので、普通の会社も小洒落た感じになったんだろう…という感じ。それに普通のサラリーマンの主人公の住環境もおしゃれ。どうも2000年あたりに流行ったような一面ガラス張りのお洒落な高級マンションに住んでいるんだけど、そんな物件(現実で2014年の今現在は)まだ彼みたいな普通の会社員には住めないだろうと思う。この主人公のような普通の会社員がこんなところに住めるというのも、世の中がちょっとだけ進んだことの設定なのだろうと思う。

③街が清潔
街の風景も今と同じ。だけどとても清潔な感じがする。人もちょっと少ないかも。ウェスト位置の高いパンツを履いたギーク(オタク系)な人達がイヤホンのOSと話しながらゴミ一つ落ちていない通路を歩く風景はやっぱりちょっと変。もうすぐ実現しそうなリアルな近未来の日常の風景だろうと思う。電車に乗ると乗客全員が携帯をいじっていて個々の世界に没頭している東京の風景とどこか似ているかも。

④いろんなツールが面白い
どこも一見普通なんだけど、人物達が当たり前に使っている日常のツールはとても進歩してます。3D画像を部屋の一面に投じたゲームの画面。PCらしいものにもキーボードは無い。ほとんどのコマンドは音声認識されるので人物は常にOSに話しかけている。いろんな場面で(今はまだ技術的に不可能だろう)最先端のツールが出てきて面白い。将来はこんな風になるのかも…などと面白かった。(地味だけどリアルな)近未来の様子がよく考えられて丁寧に作られているのがとても楽しい。


全体的にとてもいい映画。編集も音楽も情緒的ですごくいい。ホアキン君の一人芝居も本当に素晴らしい。表情だけであんなに繊細な演技ができるなんてすごいと思う。こういう人の心をテーマにした映画は記憶に残ります。アクションばかりのSF映画には求められない深み。最後はちょっとしんみりさせられる。見終わった後、後ろの客席からいくつかの拍手も聞こえてきました。


★ちょっとネタバレ注意

さてそれでは問題の内容について…。ここからはワタクシの独断と偏見に満ちた愚痴です。いや…もっとこうして欲しかったなーという意見。

えー正直…うーん…期待してたのとちょっと違ったかな…という感じ…。決して悪くは無い。十分に楽しめた。特に上に書いたようなリアルなちょっと先の近未来の様子は本当に面白かった。話の設定も面白いし、いい題材であることは間違いない。

問題は肝心のオペレーション・システムと主人公のオヤジの関係。いやOSの設定・あり方がちょっと違うかな…という感じ。要はこのスカーレット・ヨハンソン声のOSが、あまりにも人間過ぎてつまんない。もっと機械には機械らしくしてもらわないと…SFロマンを感じない。

内容には触れませんが、このOSが最初から普通の女なんですよ。完成され過ぎているの。それが面白くない。このOSには、まだ生まれたばかりだから簡単なことも分からなかったり、ちょっと間違ったりとか…そういう初期にありがちなユーモラスな可愛げが全く無い。こういうA.I (Artificial Intelligence)って、話しかければ話しかけるだけ持ち主の言葉を学習して人格が形成されて成長していくものだろうと思うんだけど、このOSは最初から大人の完成された女。だからつまんない。このOSが最初はもう少しイノセントで、ホアキン君が教えながら学習させていくような話ならいいのにと思う。育てるのが面白いのに。

だからA.Iと人間との関係を描いた面白味=SFのロマンを感じない…。要は、OSがあまりにも人間そのものなんで、人工のA.Iである必然性をあまり感じないんですよ。

(内容的にあるにはあるけれど)話しかけて学習させていく経過もあまり無く、あってもそれほど微笑ましいものではないのも残念。教えていく内容もちょっとつまんない…。結局A.Iと仲良くなって行き着くところはそこかい?的なガッカリ感もあったりする。結局そこか…アメリカ的なダイレクトさなんですかね。結局みんなそこが知りたいの?

それに何よりもこのOSに機械的なもどかしさが全く無いせいで、彼らの関係がいつの間にか人工物A.Iと人間の関係に思えなくなってくるのも問題。OSがあまりにも普通の人間らしいので、どこかにいる人間の女の子と話しているみたいに思えてしまう。まるで(決して会うことの出来ない)海外在住のガールフレンドとの電話での遠距離交際と同じに思えてくる。それも問題。OSである必要ないじゃん。

それ以前にそもそもワタシには、ああいう人工のA.Iがここ20年、30年であれほどの自意識や肉体性、創造力や独立心を持つほど進化するとは思えませんもん。無理だと思う。それもちょっと醒めた理由。旦那Aは理系の人なので「可能だ」と言ってましたが、いや私はそうは思わないぞ。まだまだ早すぎる。

そんなわけで、寂しいホアキン君がOSと出会って明るくなってくる様子は良かったんだけれど、だんだんOSが身勝手になってくると興ざめ。「そんなのありかよ…」的にちと醒めてしまいました。


だってさーA.I.のガールフレンドなんて、イノセントで忠実でちょっと抜けてて可愛くて何でも言うことを聞いてくれて思い通りになってくれてナンボなんじゃないのぉ? それで可愛いA.I.ちゃんにだんだん人間が中毒になってのめりこんでいって抜けられなくなって、最後はいろいろとおかしくなって悲劇が訪れるなんていう話を期待してしまうけどな。そういう話のほうが星新一さん的な怖いダークなSFのロマンを感じるけどな…。

やっぱこういう話はアメリカはだめなのかなぁ…。行き着くところがああいう結末というのもなんだかなぁ…と思いました。しかしこれは私のワガママ。

それでもね、やはり映画としては面白い題材だと思う。良く出来た映画。これからもこういうテーマの映画はどんどん出てきて欲しい。